実行機能を鍛えて、 苦手なことも頑張れる

もし、お子さんにピアノを習わせたいと考えていらっしゃるなら、

ぜひ、知っていただきたい脳のことを書いています。

 

前回のコラムでは、音楽のトレーニングと IQ の関係性について書きました。

そのコラムはこちらをクリック⇒ピアノを習うと頭が良くなる??音楽のトレーニングと IQ の関係性

 

前回取り上げた研究では、実行機能について、触れました。

実行機能とは行動、思考、感情を制御する能力で、脳の前方に

位置する前頭前野を含む神経機構と関係している認知プロセスです。

 

実行機能を簡単に説明すると、”後先のことを考える”という力です。

計画力とも言い換えることができます。

 

実行機能が弱いと、どんなことが起こるのでしょうか?

 

「欲しいゲームソフトがあるけれど、誕生日プレゼントまで待てないから盗む」

「テストで問題が解けないからカンニングする」

などのように、見つかったら、捕まったり、叱られたりするから止めておこう、という考えに至りません。

 

逆に、実行機能が鍛えられると、苦手なことや、今はやりたくないけれども、

やらなくてはいけないことにも取り組むことができるようになります。

音楽のトレーニングは、 実行機能にも良い影響が出ることが分かってきています。

 

それは、小さな成功体験を積み重ねることで培うことができるからです。

最初はとても難しいと感じていた曲も、少しずつ練習することで、弾けるようになり、

簡単だと感じることができるようになっていきます。

 

その体験は、まさに小さな成功体験の積み重ねで、自分はやればできるのだ、という自信にもつながります。

 

実行機能に良い影響というのは、例えば

「まだ遊びたいけれど、1時間経ったら宿題をすると決めたので、遊ぶのを止めることができる」

「欲しいお菓子は2つあるけれど、1つだけ選ぶという約束なので、我慢して一方のみを選ぶことができる」

などのようなことです。

 

ハーバード大学子供発達センターの動画が、

実行機能について、分かりやすく解説してくれていますので、ぜひ、ご覧ください。

 歯車マークをクリックして、字幕をオンにして、日本語を選択すると、日本語の字幕付きで見ることができます。

こちらの動画は、神経科医が、音楽がいかに脳に良いかを説明しています。

この動画の内容は次のとおりです。

ピアノを弾くという行為は、高度で多種多様な能力を必要とします。 

 

まず楽譜を読みます。 

音を 読んで、指の動きに変換し、それを両手で行います。 

その努力が正しく音に反映されているか 確認します。 

 

視覚、読解力、計画力、運動機能、聴覚機能、つまり脳全体を活用するのです。 

 

この動作を練習で繰り返すことで、心にとってはご褒美機能が働き、

脳にとっては脳内神経ネ ットワークを構築することになるのです。

 

さらに 音楽家の脳は神経科学者にとっては贈り物のようなものです。

 

長期間の専門的な楽器の訓練を受けた人達の脳は、音楽が脳にとっても

贈り物だということを表しています。 

 

下の図をご覧ください。

 

 

黄色い部分が音楽家の聴覚野ですが、高性能にできていて、

 

音楽だけでなく言葉の処理にも優れています。 

2つの大脳半球をつなぐ橋である脳梁は一般人より大きくて強いです。 

オレンジ色で示されている部分です。

 

 

手の機能ももちろん高性能です。 

 

手の動きを司る脳の部分は、一般人より大きく、繊細な動きに対応することができます。 

 

音楽の訓練を受けた子供や 青年達は学業成績が良いことが多く、IQ テストや記憶力テストも同様です。 

 

また音楽創造は痴ほう症予防になり、脳の高齢化を遅らせる働きもあります。 

 

ですから、私は皆さんに、脳に良いことをしてあげて下さいと勧めます。 

そうすれば、脳もあなたに良くしてくれます。 

脳はその音楽を喜んでくれるはずです。 

 

ピアノのレッスンはまずは、楽譜の読み方から始めます。

そして、右手で弾く練習、左手で弾く練習、両手で弾く練習へと進んでいきます。

 

全くピアノを弾いたことない人は、小さい子が両手で弾いている姿に

関心、感動さえ覚えるのではないでしょうか?

 

ピアノを弾くというのは、日常生活にはない特別な作業ではありますが、

ステップを踏んで行けば、誰でもできることなのです。

 

初めてのお子さんでも、初めての方でも大丈夫!

絶対に弾けるようになります。

それは私が保証します。

 

そしてその結果、音楽を楽しむという最高の喜びが手に入るだけでなく脳への良い影響も手に入るのです。