音楽教育は、学業成績に良い影響を及ぼす③

音楽教育を受けた生徒は○○の成績が良い!

「音楽教育は、学業成績に良い影響を及ぼす」というシリーズで前回、前々回と書いています。

 

①では、カレッジ·ボード(大学入学用全国模試を行う機関)の統計を見ると、2015年に全国模試を受けた高校生のうち、4年間音楽のクラスを取った生徒は1年半以下しか取らなかった生徒より平均92点、総合点が高かった。(National Arts Administration and Policy Publications Database, Arts Facts: SAT Scores and the Arts1999 – 2015

 

②では音楽の授業がある学校は、ない学校より10%近く出席率が良い。

(The National Association for Music Education.Music Makes the Grade.The National Association for Music Education. Accessed February 24, 2015)

 

ということをご紹介しました。

 

今回は、音楽教育を受けた子どもは、どのレベルであれ、全く受けていない子どもより英語、数学の成績が良い。

 (Journal for Research in Music Education, June 2007;Dr. Christopher Johnson, Jenny Memmott)

という研究結果をご紹介していきます。

こちらも、日本語では一般公開されていない貴重な論文です。 

 

なぜ、成績が良くなるのか?

上記でご紹介している通り、音楽教育を受けた生徒は、

レベルに関係なく、英語と数学の成績が良いという結果が出ています。

 

ここで書かれている”英語”というのは、アメリカでの話ですので、

母国語(英語)、日本で言うと国語です。

国語の学習の習得には読み書きが必須です。

この読みと耳は密接な関係があります。

国語学習には音読が良いと言われますが、小学生の宿題には毎日、

国語の教科書を読む宿題、いわゆる”音読”というものがあります。

 

これは、教科書を読んで、自分の耳で聞くことで言葉を確認する訓練をしているのです。

音楽教育を受けている児童、生徒は音を聞くことで耳の訓練が自然とされていますので、

比較的音読を嫌がらないことが多いようです。

 

もちろん、英語の学習にも音楽教育は役立ちます。

ピアノのレッスンでは、音を聞き取る練習や、自分の演奏した音を聞いて、

弾き間違いに気付けたり、表現を考えたりします。

ですから、ピアノだけでなく、音楽を習っている子どもは、自然と耳が良くなるのです。

英語をはじめとする、外国語の習得を目指した時、

耳が良いと、発音の聞き分けがよくでき、聞いた発音を真似ることが容易になるというメリットがあります。

ですから、英語の勉強にも役立つと言えるのです。

 

 

また算数。

音楽というのは、実はとても算数的な面もあります。

当教室では、音楽の基礎知識を学ぶために、ワークブックも取り入れているのですが、

音符の足し算や引き算、楽譜の穴埋めやリズム打ちなども学習します。

何のためにそんなことをするかというと、楽譜を見て演奏しながら、

瞬時に音符の長さを計算してり、後ろの音を打ち直さずに、のばして演奏する記号が出てきた時は

音符を数字に置き換え、それを一瞬のうちに、足し算しなければならないからです。

また、1拍の音符は拍子記号によって変化するので、頭の中で音符を数字に変換する力が求められます。

「音楽教育を受けているお子さんは算数好きな子が結構多い」

と、ピアノ講師の間でもよく言われています。

音楽を楽しみながら算数脳も鍛えられたら、とてもお得だと思いませんか?

 

 

 

音楽のレベルに関係なく成績が良くなる!

音楽教育を受けた生徒はレベルに関係なく、成績が良くなる、ということは、

受験のための塾通いや、勉強、部活動でピアノの練習時間があまり確保できなくなったとしても、

音楽のレッスンには通い続けた方が良い効果が得られる、ということになります。

 

”ピアノのレッスンには毎週通っているけれども、1曲合格するのに、時間がかかるようになった”

”練習せずにレッスンに行くなんて、先生に失礼だ”

”ピアノを弾く時間があるなら、もっと勉強に時間をかけて欲しい”

 

これらは、中学生や高校生のお子さんをお持ちの保護者の方なら

頭をよぎったことがあることでは無いでしょうか。

もちろん、お子さんがまだ小さい方でも、将来的に、そう考える日が来るかもしれません。

 

なぜなら、やはりピアノの上達よりも、まずは勉強ができるようになって、

受験を無事に乗り切って欲しい、と思うのが一般的な感覚だと思うからです。

 

もちろん、お子さんがピアノが嫌いになったり、もっと他に興味を持つものができたりしたのであれば、

辞めるという選択があっても良いと思います。

けれども、もし、ピアノは嫌いな訳ではない、とお子さんが思っているのであれば、

細々とでも、レッスンに通い続けることをお勧めします。

 

ピアノレッスンに通うことで、英語、国語、算数に良い効果をもたらすのですから、

受験でピリピリしている時こそ、音楽、ピアノでリフレッシュしてみてはいかがでしょうか。

 

勉強で頭が煮詰まってしまった時に、少しピアノの練習を挟むと、

なぜか、解けなかった問題が解けるようになった、というのも進学校に通っている生徒さんに共通しているようです。