音楽教育は、学業成績に良い影響を及ぼす①

育脳には音楽教育が有効

「勉強はできないよりも、できる方が良い」

「学校の成績が良いと嬉しい」

「低いレベルの学校より、高いレベルの学校に入ってほしい」

 

そんな思いを持っている方が多いのでは無いでしょうか。

 

私も子どもがいますので、とてもよく分かります。

あまり、「勉強しなさい!」と言いたくないけれど、勉強はしておいた方が良いし、

成績も悪いより、良いに越したことは無い、と感じることが多いからです。

 

成績が良ければ、進学する学校の選択肢が広がりますので、

子どもが希望する未来に近づけてあげることができます。

 

もちろん、高校や大学に進学することだけが全てではありません。

けれども、自分の進むべき道を考え、切り開くには、

それなりの”頭の良さ”というものが求められる場面が少なくありません。

 

そうなると、音楽よりも、やはり、塾に行ったり勉強する時間をもっと作って、

学業に専念させるべきだ、と思われるかもしれませんね。

 

しかしながら、アメリカの研究によると、音楽教育を受けている方が、成績が良くなるというのです!

 

 

アメリカでの音楽の授業と成果

カレッジ·ボード(大学入学用全国模試を行う機関)の統計を見ると、

2015年に全国模試を受けた高校生のうち、4年間音楽のクラスを取った生徒は

1年半以下しか取らなかった生徒より平均92点、総合点が高かった。

(National Arts Administration and Policy Publications Database,Arts Facts: SAT Scores and the Arts1999 – 2015

 この試験の総合点は2400点だそうです。

 

この論文は日本語に訳されているものは一般には出回っていません。

 

アメリカの音大の先生のセミナーを受講した際に紹介して頂いた、貴重な資料です。

 

 

ここまで読まれただけでは、もしかしたら

「日本の学校だって音楽の授業はあるのだから、みんな成績が上がるのではないか?」

と思われるかもしれませんね。

日本の小中学校は週に1、2回、授業がありますし、小学校の6年間と中学校の3年間を合わせれば、

十分条件を満たしていると感じられるかもしれませんが、アメリカの音楽のクラスは日本に音楽の授業とは違います。

 

では、アメリカの音楽のクラスではどのような授業が行われているのでしょうか。

 

 

州にもよりますが、ほとんどの公立中学・高校には弦楽のオーケストラと吹奏楽バンドがあります。

そして、これらが音楽の選択科目の一つとなっているのです。

例えば、中学でも高校でもオーケストラを選択すると、一日置きにオーケストラの授業があります。

高校では、なんと90分間の授業が行われます。

成績は、授業中に出される課題、宿題、ペーパーテスト、実技試験で評価が決まります。

また、年に数回、学校でのコンサートも開催され、家族や地元の人たちが観客となります。

高校では、レベルごとのクラスに分かれており、将来、音楽の専門家を目指す生徒だけでなく、

普通の高校で、授業の一環として音楽を履修する生徒であっても、オーディションに合格すれば、

 

コンサートに出演することができます。

これらのことからも分かるように日本の学校で行われている音楽の授業が大切なのはもちろんですが、

楽器の演奏の上達を目指して練習を積み重ねていくことが、成績が良くなるためには必要なのです

 

 

 

勉強が忙しい時こそピアノ!

小学生の間はピアノを習うお子さんは多いです。

しかし、中学生や高校生になってくると、どうしても受験や部活などで忙しくなり、

「ピアノを練習する時間が確保できないので、辞めます」

という方が少なくありません。

 

けれども、これは、とても、もったいないことなんです!!

 

アメリカの研究からも分かるように、音楽のクラス(日本でいうと、ほとんど楽器のレッスンのようなもの)

を履修している生徒は履修していない生徒よりも、成績が良くなるという結果が出ているからです。

 

 

私の体験談

私の実体験ですが、興味深いエピソードがあります。

 

高校生になってからピアノを始めたい、と言って体験レッスンにいらした方のエピソードです。

その方は、ピアノが弾けるようになりたい、と思われたのもあるようですが、

お話をよく伺ってみると、周りのお友達の多くが何らかの楽器が演奏できることを知り、

自分も何か楽器を演奏できるようになりたい、と思われたのが切っ掛けだったようです。

その方の通っている高校というのは、毎年、学年の半数が東京大学に進学するという

超進学校だったのです。

つまり、受験のために音楽を辞めて勉強に専念するよりも、

勉強しながら、音楽を楽しむ余裕を持ち、メリハリのある勉強をした方が成果が出る、と言えるのではないでしょうか。

 

 

名門女子高から短期レッスンにいらした方もいらっしゃいました。

その方は、小学生の時にピアノを辞めてしまったけれど、

夏休みの宿題として、新学期に楽器演奏をみんなの前で披露できるようにしてくる課題が出たそうです。

ピアノを辞めてからは、ほとんど練習していらっしゃらなかったようなので、

夏休みの間、1週間に2回くらいのペースでレッスンに通われていました。

このことから、高いレベルを求められる学校では、勉強だけでなく、

音楽を演奏する力も必要だとされていることがうかがえます。

 

 

京都でピアノ教室をしていた時の生徒さんの進学実績は、

長くピアノを続けていらした生徒さんほど、有名大学に進学されていました。

 

小学校や中学校で講師をしていた時のことを思い出しても、

「ピアノを習っている」という児童、生徒はなぜか全体の成績も良く、

リーダーシップをとって部活動でも活躍している印象がありましたが、

アメリカの論文を使ったセミナーを受講して、納得できました。

 

皆さんのまわりではいかがでしょうか?

 

ピアノを長く続けていらっしゃる方ほど、成績が良い印象はありませんか?

また、ご自分が子どもだった頃を思い出してみてください。

小学校や中学校で、ピアノ伴奏をしているお子さんは勉強ができる子が多くありませんでしたか?

 

なぜ、音楽教育で成績が良くなるのか、頭が良くなるのか、

また、少しずつご紹介していきたいと思います。