間違えずに弾くことだけが全てでは無い。

ピアノって、間違えずに弾けることがスゴイことだ、と思われがちです。

確かに、間違えてしまうと、聞いている人も「あれ?」となってしまいますし、

弾いている本人も「間違えちゃた」とションボリしてしまうこともあると思います。

 

けれども、音楽を演奏する上で、間違えずに弾くことは、全てでは無いのです。

間違えずに弾くだけなら、自動演奏に任せておけば良いのです。

人間が弾くからには、「こんな風に弾きたい」「こんな気持ちを伝えたい」

という意志を音楽に乗せることが大切です。

 

楽譜から、作曲家のどんな気持ちを読み解くのか、

また、作曲家がどんな気持ちを伝えたくて、この曲を作曲したのか、

それらを感じて、自分なりに表現することができると良いですね。

 

ですから、間違えずに弾けたら、合格にして欲しい!と思いがちですが、

間違えずに弾けるようになったら、さらに曲を掘り下げて、

どんな風に弾けば、もっと魅力的な演奏になるのかを楽しみましょう!

 

可愛らしい曲なら、可愛らしさを表現した演奏ができることを目標にできたらな、と思います。

 

ミスタッチが多いと、「まだまだ間違えてるわね」と言いたくなると思います。

けれども、できていないことに注目するのでは無く、

出来ていることに注目してあげられると、良いのではないでしょうか。

「この間よりも、可愛いダンスの様子が伝わってくる演奏になったね」

などと、自分が弾きたいと思っていることが伝わるようになった喜びを

感じさせてあげることで、音楽で自分を表現する楽しさや面白さを味わうことができるようになっていきます。

 

テレビで、ピアノの上手な人が、いかに間違えずにピアノを弾くことができるか、

という内容の番組を見たことをあります。

音大卒の人や、作曲家の人など、とにかくピアノを得意とする人達が演奏するのですが、

結構、ミスタッチが多いのです。

 

つまり、ミスタッチは誰でもする、ということです。

 

もちろん、ミスタッチをしないように練習することは大切です。

けれども、本番でミスタッチをしても、流れを止めず演奏すれば、

それほど気にはなりません。

間違えた時に「あ、間違えた」と言ってしまったり、明らかに止まってしまったりしたら、

流れが止まってしまうのは、良くありませんが、

本番では間違えても、何も無かったかのように演奏を続けることが大切なのです。

 

これらのことからも分かるように、間違えずに弾くことだけが全てではありません。

もちろん、間違えないように練習することは大切なことですが、

1つや2つミスタッチをしてしまったからと言って、落ち込む必要はないですし、

叱られるようなことでもありません。

特に、人前で演奏する時には、小さなミスよりも、全体の流れを大切にして、

自分が伝えたい音楽を表現できる方が素敵な演奏になるはずです。